センターへ通う道筋には何通りかある。気に入っていてよく使うのは、「大きな木のある道」で、古い街道と三つのコンビニエンス・ストアを経由する。古い街道沿いには家が軒を連ねており、白い壁の一軒の家に私は心を寄せている。その家の引き戸の入り口の脇には大きめの花活けが据えられていて、花が必ず投げ入れられている。花は裏の広い庭に咲いているものなのだ。庭は街道からは見ることが出来ず、偶然に裏の道に迷い込んだときに玄関に飾ってある花と同じものが咲いているのを知った。知らない家の秘密を覗いているような気がして、勝手な親近感を覚えた。

昨日の帰りにその家の前を通りかかると、不幸があったらしく、白黒の幕が張ってあった。亡くなったのは不見子さんという人らしい。女の人ではあるけれども、銀行や会社などからの花が飾ってあったから、若い人ではなく、年をとったおばあさんなのではないかと想像した。もしかしたら、庭の花を摘んで玄関に活けていた人かもしれない。

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丸夜魔君と足の臭いと水虫の関係について話をした。水虫が原因で足が臭くなるということはなく、足を洗うのを面倒くさがる人は、水虫にも、悪臭にもなりやすいのだろう。と、述べていたら、足の臭いを嗅がれそうになった。私は丸夜魔君の足の臭いを嗅いだことがあり(おならの臭いも嗅いだことがある)、足の臭いを嗅ぎ合うようなただならぬ関係になってはいけないと思ったので、懇切丁寧にお断りした。