ゆらゆら帝国のライブ磔磔に行った。全ての煩悩が吹き飛ばされた。何度か慎太郎と目があった。一度、目が合ったその時に良い音がなったので思わず笑ったら、慎太郎もふっと笑った。昨晩のライブの最中に彼が笑ったのはあの一瞬だけだったと思う。こういうのとセックスってなにが違うんだろう。勝手な思いこみであるところが違うんです。でもセックスだって勝手な思いこみですることあるじゃない。28にもなっていったいなんて若い馬鹿みたいなこと考えてるんだろう、まあいいか、こんな話題。

終わってから四条で丸山君と日本酒を呑んだ。久しぶりに磯自慢を呑んだ。

電車に乗って帰る途中、山科を超えたあたりから雨が降り始めた。駅を降りて、傘を持っていなかったのでそのまま歩いていると、後ろから男の人が、"もし良かったら行けるところまで一緒に傘に入っていきませんか?"と、声を掛けてきた。見るとハンチング帽をかぶった30代くらいの人で、おしゃれな30男というのは好みのタイプなので言葉に甘えて傘に入らせてもらった。行きがかり上、どのあたりに住んでいるのかを明かす必要があり、判明したのはうちの向かいのアパートに住んでいる人であるという衝撃の事実だった。夫はジャズ・ボサノバギターを教えたり演奏したりしており、家で待っている妻はピアノを教えているらしい。もっとも驚きだったのはバオバブの木の話だ。家から少し離れた所に立っている一本の木は、キャノピーに至るまで一本の枝もないつるっとした真っ直ぐの幹を持っており、バオバブの木であるということにして家に来る人全てに紹介していたのだけれど、彼らも同じ木をバオバブの木と呼び慣わしているということだ。